2022年4月24日に起きた佐々木朗希投手と白井審判員との騒動が最近、話題になっていますが、そもそも日本のプロ野球の審判員って、一体どんな人がなれるのでしょうか?
合格率や年収などを知りたいと思いませんか?
日本の野球界で、審判員としての収入だけで生活できているのはプロ野球の審判員だけです。
この記事では、
・日本のプロ野球の審判員になるための道程(方法)
・日本のプロ野球の審判員になる際の倍率や年収
・MLBの審判員と比較してどうなのか
について、調べてみましたので、興味がある方は読み進めて頂けますと幸いです。
日本プロ野球の審判員になるには、NPBアンパイア・スクールを卒業することが必要
日本プロ野球の審判員になるにはまず、「一般社団法人日本野球機構(NPB:Nippon Professional Baseball Organization)アンパイア・スクール」所謂「NPBアンパイア・スクール」を卒業することが、プロ野球審判員への唯一の道です。
NPBアンパイア・スクールは、プロ野球審判育成制度の下で、審判員の育成とプロ野球審判員の採用を目的に2013年に設立されました。
なぜ「NPBアンパイア・スクール」経由に一本化されたのでしょう?
それは、「審判員同志の競争を促し、日本のプロ野球の審判員のレベルアップを図るため」です。
所謂「MLB」(MAJOR LEAGUE BASEBALL:メジャーリーグベースボール)のプロ野球育成制度が、合格するのにとてもハードルが高いですので、日本プロ野球界もMLBに倣ったという経緯があります。
尚、2012年までは、審判員になるためには、次の3つのルートが有りました。
(1)プロ野球選手になったものの、成功しなかった選手の、第2の人生としても選択肢の一つになっていることもありました。
(2)高校野球や大学野球、社会人野球、さらには独立リーグなどの審判員は、他に本業をもっていたり、アルバイトをしながら審判員をしていました。
アマチュア野球の審判員は1試合を担当することで得られる報酬は数千円程度なので、審判員の収入だけで生活するのは難しかったです。
そんなアマチュアの審判員からスカウトで採用する場合もありました。
(3)高校野球や大学野球の場合は、学校の先生や公務員、自営業の人が多く、基本的にはボランティアに近いかたちで審判員を務めていました。
アマチュア野球の審判員になるには都道府県や市町村の野球協会所属の審判員として経験を積み、その審判ぶりが評価されると、徐々に大きな試合を任せられるようになりました。
このような大学野球や高校野球などで審判経験のある人を公募する、所謂、一般公募によって採用する場合もありました。
NPBアンパイア・スクールの期間、応募資格、費用は?
NPBアンパイア・スクールの開催時期は12月で、2019年は12月14日から20日まで、6泊7日の日程で、埼玉県さいたま市にて行われます。
応募資格は高校卒業(当該年度の3月に高校卒業見込み者も含む)以上の資格を有する者で、性別、身長、体重、視力、年齢などに制限はありません。
かつてはプロ野球の審判の応募には、「身長175cm以上の25歳未満の男性で、裸眼で視力が1.0以上」といった条件がありましたが、現在はこれらの条件は設けられていません。
応募はメールで行い、氏名、住所、電話番号、年齢の他、身長、体重、視力、野球経験、審判経験、応募理由や自己PRなどを記入することになっています。
NPBアンパイア・スクールの定員は66名となっており、応募者が多い場合は書類審査があります。
受講料は受講期間中のホテル代や食事代、その他の道具代などを含めて2019年の場合は7万9000円でした。
期間中はプロ野球の審判員を講師に、9時から16時までグラウンドで実技指導、19時から21時半までホテルの会議室での座講(座学)が行われます。
「NPBアンパイア・スクール」では審判候補生は、プロ野球選手同様に、真剣に野球に向き合っています。
3種類のアンパイア(審判員)の契約とは?
アンパイア(審判員)の契約は次の3種類あります。
②育成審判員としての契約、
③研修審判員としての契約の3種類です。
次に具体的な違いを簡単にまとめてみます。
②育成審判員は、2軍の試合に出場し、審判経験を積みます。
③研修審判員は、国内の独立リーグに出場し、研修を通じて審判経験を積みます。
一応、下のリーグから上のリーグへ上がって行くという、競争原理を意識したシステムになっています。
過去の3種類の審判員の採用実績、合格率は?
過去の審判員の採用実績は、次のようになっています。
2014年度 4名
2015年度 4名
2016年度 3名
2017年度 4名
・・・
2019年度 4名
NPBアンパイア・スクールの定員は65名です。
合格率は約6%と狭き門です。
NPBアンパイア・スクールの全プログラム修了後、プロ野球の審判として高い資質を持っていると判断されれば、翌春のプロ野球キャンプに参加できます。
そこで改めて適性を判断され、合格すればプロ野球を運営するNPBと②「育成審判員」もしくは③「研修審判員」として契約を結ぶことになります。
2軍の試合で審判を務める育成審判員とは?
②育成審判員は、2軍の試合で審判を務めながら1軍昇格を目指します。
2軍で1年間に約100試合の審判を務め、1軍に昇格するには通常は約5年かかるといわれますが、優秀と認められれば1年で1軍に昇格する人もいます。
ただし、1軍に昇格しても最初は塁審だけで、主審、即ち、球審を務めるには1軍の審判として5年から7年の経験が必要です。
独立リーグで審判経験を積む研修審判員とは?
③研修審判員は、独立リーグの「ルートインBCリーグ」や「四国アイランドリーグplus」に派遣されて経験を積みます。
ほとんどの合格者はまず③研修審判員として契約することになり、1年間の活動を評価されれば、②育成審判員として新たに契約を結べます。
NPBの審判員の年収は?
このNPBアンパイア・スクールを卒業し、③研修審判員及び②育成審判員を経て、①NPB審判員として成功している人達の給料は
1軍審判 | 750万円(最低年収) |
出場手当 | 球審34000円、塁審24000円、控え7000円 |
2軍審判 | 350万円 |
出場手当 | 一律2000円 |
プロ野球の審判員の給料は意外と安いと思いませんか。
審判用の用具の購入は自腹で、年間給料の約3割が経費として係ります。
55歳定年で、退職金制度もありません。
大変過酷な仕事であるにも関わらず、生涯賃金で言うと、意外と一般サラリーマンの平均か、場合によっては少ないかも知れないですね。
意外と平均的給料のプロ野球審判ですが、では、その仕事内容はどうなっているのでしょう?
日本のプロ野球審判の仕事ってどのくらい大変なの?
ここでは、プロ野球の審判員の仕事をいくつかの視点から見てみます。
◆審判の1年間の活動について
プロ野球シーズンは? | 2月1日から10月下旬の日本シリーズまでです |
プロ野球の審判のプレシーズン | プロ野球の春季キャンプが2月1日から始まりますが、審判もこれに合わせて各チームに出向きます。 |
プロ野球の審判のレギュラーシーズン | そして、プロ野球で、各リーグの首位を争う公式戦、所謂、ペナントレースが3月末から始まり、10月前半に終わるのがレギュラーシーズンです。審判の活動もこのレギュラーシーズンと共に終了します。 |
プロ野球の審判のシーズンオフ | 10月初旬から1月末若しくは1月中旬 |
◆審判の担当について
1試合の担当人数は? | 1試合を5人で担当 |
3月下旬開幕のペナントレースでは、1試合を5人の審判が担当します。 | |
自宅、或いは球場近くのホテルから2試合又は3試合通うことになります。 |
球審→控え→1塁塁審→2塁塁審→3塁塁審
5人の審判が上記のローテーションで担当を交替していきます。
球審を勤めた翌日は控え、というのは恐らく、疲れを取る為でしょう。
控えの翌日から1塁、2塁、3塁の各塁審をローテーションしていきます。
因みに、試合開始の約2時間前には球場入り。そして球場を出るのは、試合終了後の約2時間後だそうです。
ほぼほぼ8時間勤務です。
試合の場所によっては、出張も頻繁にあるので、一般サラリーマンより、責任も大きいと共に、体力も必要であることが予想されます。
アメリカのMLBの審判制度(アンパイア制度)
では次に、野球発祥の国と言われる、アメリカのMLBのアンパイア制度についても見ておきましょう。
MLBのアンパイア制度は非常に厳しいと言えます?!
・審判学校の生徒150人中、卒業出来るのは約20人
・ルーキーリーグ※は審判2人制
・アメリカには現在、以下の2つの審判学校が有ります。
(1)ジム・エバンズ審判学校(フロリダ州キシミー)
(2)ハリー・ウェンデルステッド審判学校(フロリダ州オーモンドビーチ)
この2校に毎年約150人の生徒が在籍します。
しかし、卒業出来るのはおよそ20人です。とても狭き門です。
選ばれた存在、とも言える20人は選手と同じく、ルーキーリーグからアンパイア生活がスタートします。
そして、ルーキーリーグから1A、A+、2A、3A、MLBと昇格していきますが、各ステージで高評価を得られなければ、MLBにはたどり着くことができません。
仮に、こんな制度のMLBアンパイア・スクールとNPBアンパイア・スクールが提携して交流すれば、日本のプロ野球の審判もかなりレベルアップすると思います。
そうすれば、大谷翔平選手の活躍で、日本でも多くの人たちがMLB中継を視聴し、現地から情報を得るようになった今、今後ファンが審判に向ける視線は。さらに厳しくなっていくのに、対応できるのではないでしょうか。
MLBの審判員の昇格制度
上述したように「ルーキーリーグ」→「1A」→「A+」→「2A」→「3A」→「MLB」
となります。しかも驚きなのは、「ルーキーリーグ」と「1A」では何と、審判は2人制なのです!
「えっ?たったの2人ですか!?」
っといった感想を持つ人が多いと思います。
しかも、もし、そのうちの1人が負傷退場とかになったら、1人で1試合を仕切らないといけません。
非常に大変になると思います。
ストライク・ボールの判定からアウト・セーフ、更には盗塁したらその判定もしなければなりません。
本当に出来るのでしょうか?丸で特殊な芸当でみたいですね。
日本プロ野球の審判員になるには?合格率や年収は?MLBの審判員と比較してどうなの?:まとめ
・日本のプロ野球の審判員って、元プロ野球選手やアマチュア野球の審判の中から、優秀な人が試験を受けて、合格した場合とかに、なれると考える人は多いと思います。
そして、2012年までは、このようなルートを経て、審判員になれました。
・今はNPBアンパイア・スクール経由に一本化されています。
・日本のプロ野球審判になるにはNPBアンパイア・スクールの合格が必須条件です。
・NPBアンパイア・スクールは毎年12月中旬に7日間で開催されます。
・受験資格は高卒以上です。
・日本のプロ野球審判の最低年俸は350万円です。
・MLBのルーキーリーグの審判は2審制です。
・白井審判員は、NPBアンパイア・スクールを卒業してはいないが、22歳で1軍の三塁塁審として、初ジャッジしているので、審判員としての出世のスピードは速いと言えると思います。
以下、白井一行審判員の略歴です。